ルイス・フロイスが見た剃刀と研磨法

剃刀は、髪結の仕事に欠かせない道具である。
その剃刀について、戦国時代(1569年、永禄12年)に来日したポルトガル人宣教師、ルイス・フロイスが後年(1585年、天正13年)、冊子(「日欧文化比較」)に紹介している。

「日欧文化比較」は当時のヨーロッパと日本の風習、風俗、制度、宗教などの違いを比較したものだが、それによると
「われわれの剃刀は厚くて平らである。彼らのは薄くて片側に曲がっている。」(第7章46)とある。

われわれの剃刀、つまりレーザーは当時から直刃で、「厚く」とあるので、コンケーブのないベタ仕様だったのが、この短い文章からうかがえる。
一方、日本剃刀は「曲がっている」とあるので、反りがついていたようだ。これだけの文章では片刃なのか、両刃なのかは不明だ。

「日欧文化比較」には、「…レーザーは固い砥石で油を使って研ぎ、剃刀は柔らかい砥石で水で研ぐ…」、と東西の研ぎ方の違いを紹介している。
近年でこそ、替刃が普及しレーザー、剃刀を研いで使用する理容師さんは少ないが、刃物が誕生して以来、研磨は必須の作業工程だった。日本では本山砥という砥石(いまは産出されない)に水で砥材となる名倉砥を使い研いでいた。
江戸時代、床屋の道具箱には底部に砥石をしまい、切れ味が鈍ってきたら、その場で研いで月代を剃った。