外国人に奇異に映った丁髷

江戸時代に日本を訪れた外国人が日本について書き残した書籍は数多くあります。欧米の新聞にも幕末の日本が掲載されています。

英国で古い歴史があり、英国を代表する新聞の一つに『ザ・タイムズ』があります。
『ザ・タイムズ』は、幕末期の嘉永5年(1852)から明治維新を経て明治11年(1878)までの26年間に日本に関する記事を約450回掲載しています。

この間、日英間には生麦事件(文久2年、1862)や薩英戦争(文久3年、1863)があり、政治情勢を中心に貿易も関する記事などが多く見られますが、まれに日本人の風俗を紹介した記事があります。

浦賀に来航したペリー艦隊に乗船していた英国人の医務官は、「‥‥頭の上はきれいに剃り上げられ、残りの部分は寄せ集められ尻尾のように結ばれている‥‥」と、丁髷を紹介しています(1854年6月1日付、安政元年)。
丁髷は外国人にとって奇異に見えた風俗でした。何の尻尾か不明ですが、豚の尻尾か犬の尻尾を連想させます。頭にピストルを載せていると揶揄されたのは、欧米を視察したときの岩倉具視さんでした。

女性の日本髪も、当時の欧米女性の髪型とは格段に異なります。ところが、日本人女性の美しさや所作、親切さを褒める表現は枚挙にいとまありませんが、日本髪をけなす表現は知りません。奇異に感じることなく、美しい日本女性の一部として日本髪は存在していたのでしょう。

前稿で、女子の断髪禁止令の不思議を書きましたが、当時の為政者は欧米男性の多くが日本人女性を高く評価していたのを踏まえての判断だったかもしれません。

丘圭・著

参考文献・「『ザ・タイムズ』にみる幕末維新」(皆村武一、中公新書)