「髪結のひっつめ頭」

(前回からの続き)寺門静軒さんの『江戸繁昌記』は、天保年間に大繁盛する女髪結を描いています。その女髪結の姿を「女剃師(おんなかみゆい)は梳粧素淡」と表現しています。

「梳粧」(そしょう)は、髪を梳かす、化粧をすることです。「素淡」(そたん)は、あっさりしている、地味な身なりなどの意味があります。つまり女髪結は自分の髪や化粧はあまりかまっていない、といっています。

服装については「単衣をケイ(糸へんへんに同)にし」と簡単な上っ張りを着ているだけと書いています。
髪や化粧、着衣にかまっていられないほど、忙しい女髪結の状況を表現しています。

以前、「髪結や己が頭は枯野吹く」( 『江戸名物鑑』、『江戸名物 狂詩選』ともいう。方外道作著、天保7年(1836))で床屋のことを紹介しましたが、商売が繁盛すると、忙しすぎて自分のことはかまっていられないのは今もむかしも世の常なのでしょう。

「紺屋の白袴」、「医者の不養生」、「床屋の枯れ野頭」、「髪結のひっつめ頭」、そして「理容師の無精髭」「美容師のプリン頭」、といったところでしょうか

丘圭・著

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