櫛の歴史は古い

櫛の歴史は古い。紀元前までさかのぼる。
有史前の遺跡からも櫛が出土している。現在、広く使われている横櫛ではなく、幅の短い歯の長い縦櫛である。西洋ではエジプトで紀元前3500年ごろといわれる櫛が出土している。
日本でも縄文時代早期、紀元前7000年頃の櫛が東名遺跡(佐賀県)から出土している。

八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館所蔵
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館所蔵

写真の櫛(レプリカ)は、縄文の時代は下るが八戸(青森県)の遺跡から出土したもので、この櫛は漆塗りがほどこされているので話題になった。漆は中国伝来とされるが、日本独自に漆塗りの技術があった可能性があるからだ。

現在の人類が地球上に出現して約4万年経つ(高校歴史教科書。約20万年前という説もある)。約3万年前までは打製石器の時代で、櫛の歯を埋め込むような細工をするのは難しい。磨製石器(新石器)時代になってからの製造になるのだろうが、早くから櫛は作られていた。生活する上で必要だったのだろう。
髪を梳かして髪を整えるだけでなく、髪に付着した汚れやダニなどの寄生生物を取り除くための衛生目的からも必要だったのかもしれない。
有史時代になると髪の神秘性に基づいた祭事、呪術が行われたことが史料に残る。縄文時代にもそんな祭祀的な使われ方をしたのかもしれない。

櫛が装飾工芸品として最高峰に達したのが江戸時代である。梳かすという実用目的よりも髪飾りとして、簪、笄などとともに日本髪を彩った。明治時代も広く日本髪は結われたが髪飾りは江戸時代ほど使われていない。

歴史の古さからいえば、笄は形状が単純なだけに櫛よりも古くからあったと推測してもおかしくない。史実では室町時代に宮廷の女子が長い垂髪を笄でまとめたとある。
太古の昔、打製石器では髪を切ることはできない。そんな伸び放題の髪を一本の棒である笄を使って、まとめたとしてもおかしくない。
実際、内外の遺跡からまっすぐな棒切れ、あるいは鶴などの大型の鳥類の足の骨が出土している。これらが笄として使われたかは想像の世界になるが、その可能性は否定できない。

丘圭・著

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