幕末「ヨコハマホテル」のあった場所

日本最古の西洋理髪所は、万延元年(1860年)に外国人向けに営業をはじめた「ヨコハマホテル」内の理髪店であることを紹介しました(もう一つの「西洋理髪事始め」)。H.P.ファーガスンさんという理髪師がホテル内で営業しました。

「ヨコハマホテル」のあった場所は、横浜市中区山下町七十番地で、現在は洋菓子店「かをり」があります。

大桟橋通りをはさんで、洋菓子店「かをり」。蔦の絡まる建物がひときは目を引きます。下は史碑(2018年10月6日撮影)

大桟橋通りに面した「かをり」の店頭には「ホテル発祥の地」の史碑があり、俳句や食文化に造形の深い草間敏郎さん(『ヨコハマ洋食文化事始め』雄山閣などの著作)が「ホテル発祥の地とは」のタイトルで撰文を寄せています。

「1860年(万延元年)、開港直後の2月、横浜のホテルのがこの地(居留地70番地)で誕生した。
この「ヨコハマ・ホテル」はオランダ人が造ったもので、内部に食堂、ビリヤード、酒場を設け、数年後にはフランス人シェフのレストランや洋酒、洋菓子の売店、ボーリング場も付設した。
宿泊客のハイネ、ワーグマン、クラーク等の著名文化人も多数、宿泊し滞在した。これらの人たちを通して最新の外国文化の受け入れの窓口として我が国の近代化に果たした役割はまことに大きい」と記してます。

残念ながら西洋理髪所の記述はありませんが、あったことは他の史料から確かです。
日本人による「西洋理髪事始め」は、それから遅れること9年、明治2年(1869)に横浜・山下居留地148番地に開業した小倉虎吉さんです。

理髪所を構えての営業は上述の通りですが、それ以前は横浜港に停泊していた船の中の理髪施設で行っていたはずです。
世の中の「初めて物語り」は捉え方によっていろいろです。

余談ですが、ヨコハマホテルの英文表記は「YOKUHAMA」となっています。ヨコハマではなくヨクハマと西洋の人は聞こえたのかもしれません。

丘圭・著