『葉隠』にある武士の身だしなみ

「武士道といふは、死ぬ事と見附たり」の一節が有名な『葉隠』に武士の身だしなみについて叙述した部分があります。

意訳すると、
武士は、毎朝行水をして身を清め、髪を整え、また髪に香をとめ、手足の爪を切り、軽石でこすり、こがね草でみがき、身なりを整えた
とあります。

『葉隠』は、元鍋島藩士の山本常朝さんが宝永7年(1710)から亨保元年(1716)にかけて口述したものを同藩士の田代陣基(つらもと)さんが筆記した、全11巻におよぶ膨大な書物です。

前述のくだりは、5、60年前の江戸時代初期、17世紀中ごろまでの武士の身だしなみのありようを紹介したものです。『葉隠』を叙述した当時の武士は、生活に追われ、金銭にこだわっってばかりいると批判しています。また、常に死を覚悟している武士は、死んでも身綺麗であることを讃えています。

この一文から江戸時代、武士が爪の手入れを行なっていたのがわかります。女性は爪紅をさして爪化粧をしていましたが、爪に対するケアは古くから日本人の習わしだったようです。

それにしても、「毎朝行水をして身を清め、髪を整え、また髪に香をとめ‥」というのは、いまでいうなら、朝シャン出勤?
できる男は、むかしも今も変わらない。