艶やかな非人の女

非人の髪型、着用する服の色を前回、紹介しましたが、非人の蓬髪(ほうはつ)姿は、中世の冠・烏帽子を冠らない子供、また近世の髷を結わない子供と同等と受け止められていました。そのため蓬髪の非人を童形(どうぎょう)姿ともいいます。

男児の名前に「○○丸」と丸をつけるのが当時の習いですが、童形姿の非人も「○○丸」と童子名で呼ばれることが多かった。また「丸」は、古来より船名に使われています。
「丸」という言葉には、大事にするもの、愛すべきものといった意味合いが感じられます。

蓬髪姿の非人は、「得体の知れない、人間離れした」存在であると同時に、愛すべき存在だったのかもしれません。

非人の女も髪を結うことは許されません。いまのポニーテールに近い根結の髻をして髪を背後に垂らしていました。江戸時代初期に描かれている湯女の髪型です。
非人の女は結婚しても眉を剃らない、お歯黒もしない。だから未婚なのか亭主持ちなのかわからない。

そんな非人の女たちは辻芸や角付け芸を稼ぎにしていましたが、着用する服は木綿の服が決まりです。編笠を被り、あでやかな綿服を着込んで辻をめぐります。

江戸後期、江戸の街で見かけた非人の女について、喜田川守貞さんは「皆、紅粉を粧ひ、新しき綿服を着す。往々美女あり」と『守貞漫稿』に叙述しています。

『守貞漫稿』で江戸時代の風俗をいまに伝えてくれた喜田川守貞さん、史料の引用が多い中で、自身が見聞した江戸後期の風俗描写が一番の参考になります。
眉剃り、お歯黒をしないで、ロングヘアのあでやかな非人女を美しいと評価しています。この感覚、21世紀の男性と変わらないようです。

丘圭・著