湯女、元吉原の遊女の髪型

前回、『「江戸名所図屏風」に見るかぶき者の髪型』を紹介しました。今回は「江戸名所図屏風」に描かれている湯女、遊女の髪型について。

江戸名所図屏風より

日本髪というと、タボ、鬢、髷、前髪で構成された華やかな髪型を想起する人が多いかもしれませんが、それは中期以降のこと。「江戸名所図屏風」に描かれた江戸前期は、垂髪から日本髪への移行期といえます。

移行期にあって、湯女や遊女は先駆的な役割を果たしているのが、「江戸名所図屏風」からわかります。キーワードは男装化です。
湯女や遊女は、根結の垂髪といわれる、いわゆるポニーテールに近い髪型が多い。髻をとり、髪を垂らす髪型です。髻をすることは、髷を結う男性の基本です。
戦国時代までは髻をとらずにただ髪に垂らしていました。戦国時代末に登場した阿国が男装の祖とされていますが、湯女、遊女もその流れを踏襲しています。

「江戸名所図屏風」に描かれた湯女、遊女で注目したいのは前髪です。若衆髷といわれる前髷をしています。若衆髷に中剃りはつきものですが、湯女、遊女が中剃りしているのかは不明です(手持ちの絵画史料が小さい)。おそらく中剃りはしていない?

江戸前期の江戸は、湯女、遊女の男装化、若衆の女装化がみられ、両者の間はジェンダーレス化していたようで、それが当時のセクシャリティでした。

この湯女、遊女の髪型は、豪華な日本髪へと変化しますが、根結の垂髪・前髪姿がなくなったわけではありあせん。江戸後期の非人の女がしていて、江戸で非人の女を見た喜田川守貞さんは「美しい非人の女」と評価しています。そして21世紀、いまもポニーテールとして存在しています。この髪型、500年続く女性の基本髪型といえます。

*)湯女の絵(江戸名所図屏風より)

丘圭・著