江戸時代にはいた髪亭

「髪結いの亭主」という言葉があります。髪結業界では略して「髪亭」(かみてい)といいます。日本に限ったものではなく、欧米にも同様の言葉があり、世界共通のようです。

「髪亭」、髪結いの女房に食わせてもらっている、情けない亭主というのが世間の認識です。ですが髪結い業界では、ある種の羨望を持って使われています。

女髪結(女性美容師、女性理容師)と結婚した会社員、自分の給料が女房の稼ぎに遠く及ばないのに愕然として、仕事を辞めて女房に食わせてもらう道を選ぶ、というケースです。
女房にかわって家事をやったり、女房の仕事を手伝う亭主もいますが、たいていは道楽にうつつを抜かします。中には道楽で名を成す亭主もいます。

髪亭の禁忌は、浮気です。女房の弟子に手を出したり、と話は色々ありますが、いずれによせ女房に知れたら、即・離縁です。やはり髪亭は情けない存在です。
髪亭、女の髪結職が正業になった明治以降の話かと思っていたら、江戸時代にすでに髪亭が存在していました。

女房は髪結 亭主油売り (川柳評万句合勝句刷一二三48)

亭主が油売りの仕事をしているわけではなく、髪結いの亭主はのらりくらりと、あちこちで油を売っている、という川柳です。

丘圭・著