サインポールは苦痛逃れの握り棒

理容店といえば赤・白・青のサインポールがつきものです。サインポール(sign pole)、「柱の看板」とでも訳せそうですが、これは和製英語です。

英語ではbarber pole(バーバーポール)といいます。壁掛けタイプのものはサインブラケットいいます。

このサインポール、なぜ棒状の柱なのかというと、理容外科医が施術で使用した包帯をこの柱に吊るして乾かしたから、という説明が多くあります。包帯を乾かしているうちに風に吹かれて柱に巻き付いて、それがサインポールになった、というのです。

それは間違いではないのですが、なぜ棒状の柱なのかの説明にはなりません。
理容外科医は、静脈を切開して瀉血したり、腫れ物を切開したり、虫歯を抜歯することも彼らの仕事の範囲でした。麻酔のない時代です。切開される人は大変な苦痛に見舞われます。歯を食いしばっているだけでは耐えられず、両手に渾身の力を入れて、ぐっと握る棒を用意していおいたのです。その握り棒を活用して包帯を干していたのが理容外科医です。後にその握り棒が、サインポールとして理容店の標識になったのです。

ちなみにサインポールは、赤・白・青が決まりです。赤(血液)、白(包帯)はわかるのですが、青の由来は諸説あるものの不明です。静脈説、仏国国旗説(トリコロール)、米国星条旗説などなど、もっともらしい説明がついてますが、赤・白・青の三色は、それ以前からありました。ここでは理容外科医のセンス説とでもしておきます。

日本ではサインポールという和製英語が登場する前は、有平棒(あるへいぼう)、三色ねじり棒などと呼んでいました。

このサインポール、男性客相手のヘアサロンの店先にあるのは、21世紀のいまも世界共通です。日本でも同様で、理容店はもちろん男性客をターゲットにする美容店もサインポールを掲げています。

丘圭・著