殿上眉は、ぼうぼう眉

前回、眉を剃り落とす「顔直し」(江戸では元服)を紹介しました。眉を剃ったあとは、そのままか白粉を塗る程度ですが、眉化粧をする女性もいました。高貴な女性たちです。

殿上眉宮中の女性は平安のむかしから眉毛を抜いて、額に墨で引眉をしていました。殿上人がすることなので殿上眉ともいいますが、眉化粧のことです。
江戸時代になっても公家の女性は眉化粧でしたし、高禄の武家の女性も眉化粧にしていました。

殿上眉については『都風俗化粧伝』(文化10年、1813)に図入りで解説されています。
眉化粧の仕方は、いつものように顔を化粧したあと、額に濃く白粉を塗り、筆で図のように作る。まず濃くつけた白粉をはつし(象牙製のヘラ)で上側を残して下側を取り去り、墨を付ける、などと眉化粧の技法を紹介していますが、最後に「上方のことなれば詳しくはわからないので略す」。正直でいいのですが、中途半端感は否めません。
なお、図(『都風俗化粧伝』東洋文庫版/平凡社)は「年若き方の眉」(右)「年満ちた方の眉」(左)の老若2点が掲載されています。

この殿上眉を江戸の庶民は「ぼうぼう眉」と呼んでいました。「ぼうぼう」は濃くて伸び放題のイメージですが、ゆわれはわかりません。
江戸の庶民は、高貴な女性の化粧について、白粉を厚塗した姿を見て「歩く白壁」などと嘲笑していたことを考えると、「ぼうぼう眉」も揶揄を込めたネーミングかもしれません。

丘圭・著

『都風俗化粧伝』(http://www.kamiyui.net/?p=535)