考現学で髪型風俗を記録

考古学という学問がありますが、考現学という言葉もあります。考古学がいにしえのことを探り、いにしえの人々の生活や文化を明らかにしようとしているのに対し、考現学はいま現在のことを探ろうというのだと思います。

考現学が学問としてひろく認められているのかはわかりませんが、路上観察学、生活学、現在風俗研究会などに引き継がれているのかもしれません。考現学を提唱した今和次郎さん(明治21年1888~昭和48年1973)は『考現学入門』(ちくま文庫)のなかで考古学が史学の補助的学問であり、考現学は社会学の補助的学問と説明しています。さらに『近世風俗史』(喜田川守貞)を考現学の書籍の一つとしてあげています。

今和次郎さんの『考現学入門』には大正時代後期から昭和の初めのころの髪型についてもレポートしていて、参考になります。
日本史の教科書にでてくるモボモガの風俗が地理的にも時間的にも限定的だったのがわかりますし、昭和の初めころまでは女性の髪も服装も和装が中心であったのがわかります。

一世紀・100年ほど前の風俗がいまとなっては曖昧模糊としています。100年後、おそらくいまの風俗も同様のような状況になっているかもしれません。いまの特異な風俗は人々の記憶に長く残りますが、普通の風俗、ごく一般的な流行は意外と忘れらてしまうのもです。そういった弊害を防ぐためにも、考現学は必要なのかもしれません。
考現学を矮小に捉えるなら、風俗・流行の記録といえます。

丘圭・著