銀座のヒゲ調査 1925年(大正14年)

考現学の今和次郎さんは関東大震災後の大正14年(1925)、東京銀座で街行く人を対象に風俗調査を行っています。衣服から持ち物まで様々な風俗を調べていますが、男性のヒゲについて紹介します。『東京銀座街風俗記録』より。

調査地域は銀座になっていますが、京橋から新橋の範囲です。この区間を歩いていた成人男性244人のうち、75人がヒゲでした。31%。今さんは、眼鏡を着けた男性とほぼ同比率といっています。

記録には、ヒゲの形状を描いたイラストと該当する人数が記入されています。
ヒゲの種類は多い。口ヒゲ、顎ヒゲ、頬ヒゲと部位による区分、ストレート、スクエア、ラウンド、インペリアル(カイゼル)など形による違いがあります。

しかも口ヒゲ顎ヒゲが一体となったものや顎ヒゲ・頬ヒゲ、口ヒゲ・頬ヒゲの組み合わせ、さらには口・頬・顎が一体となったものなどがあります。またリンカーンやカストロなど著名な人から命名したヒゲがあります。
日本髪の名称と同様、多数ありますが、なかには類似しているものも少なくありません。

今さんはヒゲイラストを8種類描いて分類しています。多いのは口ヒゲで、よくピラミダルと呼ばれるストレートなヒゲが46人、短いスクエアムスタッシュとよばれる、いわゆるちょび髭が20人います。カイゼルヒゲは1人です。75人中、67人が口ヒゲでした。

このほか、口・頬・顎のヒゲが2人、無精髭のようなヒゲが5人、下唇の下に細く伸ばしたアンカーヒゲをアレンジしたようなヒゲが1人です。該当者なしのヒゲイラストは2点ありました。

今さんは、カイゼルヒゲが少なくなったことに驚いています。明治から関東大震災前はいかにも威厳のあるカイゼルヒゲをした男性が多く見られたようです。

丘圭・著