超ビッグワード「美容」

「美容」は超ビッグワードの一つです。検索をかけると、これでもか、といういうくらい表示されます。

『広辞苑』で引くと、
①美しい容貌
②容貌・容姿・髪形を美しくすること。美粧。
とあります。「美粧」は「美しくよそおうこと。美しい化粧」(『広辞苑』)

『広辞苑』にしては簡略な記述です。語源や由来があれば、それを紹介することが多い『広辞苑』ですが、「美容」にはありません。新しい言葉なのがわかります。

「美容」という言葉、理美容業界と深い関係がありそうです。いつごろから使われるようになったのでしょうか?
大正12年(1923年)に東京・丸ビルに山野千枝子さんが開業した「丸ノ内美容院」が、店名に美容をつけた初めての店とされています。それまでの女性相手に美顔術や洋髪を施術する店は、「理容館」(明治38年、初代・遠藤波津子さん、京橋)や、美粧院などの店名が多い。

店名を別にすると、大正2年(1913年)に「美容講習所」という任意の学校が設立されています(現在のマリールイズ美容専門学校)。また、「美容世界」という会社が大正11年に設立され、翌年には同名の業界雑誌が発行されています。

理美容業界では大正期に「美容」という言葉が使われるようになった、といえます。
前述の山野千枝子さん、当時の一般女性誌とも関係が深く、とくに『婦女界』(同文館、のち婦女界社)に多く寄稿していました。一般婦人雑誌がすでに使っていた「美容」という言葉を拝借したのかもしれません。

ところで「美」という言葉を冠した言葉は、業界では美容が登場するまえに、美顔、美髪などとして使われています。「美容」という言葉、理美容業界と一般婦人雑誌とのキャッチボールで誕生した、という推測も否定できません。

丘圭・著