理髪業の試験制度

理髪師の公的な試験が行われるようになったのは、昭和5年に警視庁令・美容術営業取締規則が改正されたからです。試験は東京での実施を皮切りに、順次各道府県で行われています。

この試験に合格すれば、例えば東京府の試験に合格すれば全国に通用しました。どこの道府県の試験でも同様です。
昭和5年以降は新規に理髪店を開業するにはこの試験の合格が条件になりますが、以前から営業している店には既得権があって、暫定ながらそのまま営業できました。

それまでは、基本原則には腕に自信があれば誰でも理髪の仕事ができました。公的な資格制度、開業許可制度がなかったからです(*)。とはいうものの、公的ではないにしろ、私的な制度、因習がありました。

鑑札です。鑑札を持った親方のもとで小僧として弟子入りして何年間か修行し、やがて理髪の職人として親方のもとで仕事をして仕事ぶりが認められると、親方から営業の鑑札をもらい一人前になります。さらに地域の理髪の組合から認められると、晴れて独立して理髪店を営むことができました。

早い話、江戸時代から続く、髪結床の組合仲間の制度を踏襲したものです。

髪結床の株に限らず株仲間は明治5年に廃止されますが、私的な任意団体として存続していました。江戸時代は公的には認められていなかった女髪結の組合も明治12、3年ごろには発足しています。また、明治18年に束髪運動が起こると、翌年には束髪の組合が誕生しています。

組合仲間の範囲は、警察署が所轄する地域を単位とします。組合がまとまって連合会を結成する例もありますが、複数の警察署所管の組合がまとまったか、広域でも道府県単位の組織になります。

(*)開業許可については本文の通りですが、明治34年の理髪営業取締規則、女髪結営業取締規則で、理髪業、髪結業は届出制になりました。

丘圭・著